さとぱん博士です。今回は日本学術振興会(学振)の特別研究員の資格変更に関してです。
学振を知っている方は当然ご存じかと思いますが、DCは博士課程学生向け、PDはポスドク(博士研究員)向けの制度となっております。
給与額はDCは200,000円/月、PDは362,000円/月です(いずれも税引前)
ちなみに、DCは採用期間中に学位(博士号)を取得するとPDに資格変更することができます。
一時期PDに資格変更しても給与額がDCのままでしたが、令和4年度からPD相当の給与が貰えるようになりました。
このように資格変更すると給与額が大幅に増えるので、PDへの資格変更を考えている特別研究員DCの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そこで、実際に学振DC2からPDに資格変更したことがある私が資格変更のメリットとデメリットをお伝えします。
資格変更のメリット
私が考える資格変更のメリットは以下の2点です。
- PD相当額の給与が貰えるようになる
- PDに申請して採用されるより簡単にPDになれる
1つ目はイントロで述べた通りです。2つ目は資格変更するメリットというより制度自体のメリットに近いかもしれません。
PD相当額の給与が貰えるようになる
これが資格変更の最大のメリットかもしれません。
やっぱり昇給は嬉しいものです。
若干上がる程度ならまだしも、給与額が約1.8倍になるのは飛び跳ねるくらい嬉しいです!
私だったら雄叫びを上げながら走り回ってしまいますw
PDに申請して採用されるより簡単にPDになれる
これを見ただけでは、何が言いたいのか分からない方もいらっしゃるかもしれません。
PDへの資格変更を考えている方の殆どが、博士課程在学中の学振ラストチャンスと言われている2度目のDC2申請で採用された方かと思います。
このDC2申請はD2の春に申請し、新D1の方々と同じ土俵で審査されます。
一般にD2の方がD1に比べて業績数が多く、学振申請書作成にも慣れている方が多いです。
そのため普通に考えると、DC2は初回申請者(新D1)よりも2度目の申請者(新D2)の方が採用されやすいかと思います。
実際に私も2度目のDC2申請で学振研究員に採用されました。
一方、PDに申請して学位取得後すぐに学振PDとして採用されるにはD3の春に申請する必要があります。
PDは学位取得後4年目までの方が申請可能なので、ポスドク1~4年目の方と同じ土俵で審査されます。
研究業績や申請書作成能力を考えると、新D3がポスドクと同じ土俵で審査されて上位約2割に位置すると評価されるのは結構難しいです。
競争相手という観点で考えると、2度目のDC2申請よりもPD初回申請で採用される方が圧倒的に難しいと思います。
そのため、新D3時点でPDに申請して採用されるより、新D2時点でDC2に申請して採用されて任期2年目をPDに切り替える方が簡単にPDになれると思います。
資格変更のデメリット
一方、デメリットは以下の通りかなと思います。
- 資格変更後の任期は基本的に1年しかない
- 特別研究員奨励費(科研費)の交付額が少ない可能性がある
- 特別研究員奨励費が使用可能になるまで時間がかかる可能性がある
資格変更後の任期は基本的に1年しかない
通常はPDの任期は3年ですが、資格変更するとDCの任期の残りがPDの任期となります。
上述のようにDC2ラストチャンスで採用された方が資格変更する場合は、PDの任期は1年になってしまいます。
また、DC1の方やDC2初回申請採用者の方が1年短縮して早期修了する場合もPDに資格変更すると任期は1年となります。
これらの方が2年短縮して早期修了する場合は任期が2年となりますが、そのような方は滅多にいらっしゃらないかと思います。
そのため、資格変更後の任期は基本的に1年となってしまいます。
特別研究員奨励費(科研費)の交付額が少ない可能性がある
特別研究員は給料(研究奨励金)の他に、特別研究員奨励費と呼ばれている研究費(科研費)が交付されます。
特別研究員奨励費の金額ですが、PDの方は年間100~150万円程度、DCの方は年間80~90万円程度の方が多いようです。
つまり、一般にDCよりPDの方が奨励費の交付額が多いことが分かります。
この奨励費の交付金額は、次年度以降の交付分も含めて採用開始年度の5~6月頃に決定します。
DCからPDに資格変更する場合は、DCの資格変更年度の交付決定額がそのままPDの奨励費として交付されます。
そのため、通常のPDのように150万円程度の奨励費が交付されることはなく、多くの方の交付額が80~90万円となります。
私の場合もPDに資格変更した年度の交付額は80万円でした。
(勿論DC採用時に150万円程度の交付が決定していた方は、予定通り150万円程度の奨励金が交付されます)
特別研究員奨励費が使用可能になるまで時間がかかる可能性がある
通常は奨励費は5月頃に使用可能になりますが、DCからPDに資格変更する場合は手続きの関係で使用可能になる時期が遅くなる可能性があります。
例として、私の場合は7月に使用可能になりました。
そのため、資格変更する際には奨励費が使用可能になる時期が遅れる可能性があることを念頭に置いておきましょう。
まとめ
学振研究員DCからPDに資格変更するメリットは以下の通りでした。
- PD相当額の給与が貰えるようになる
- PDに申請して採用されるより簡単にPDになれる
一方デメリットは以下の通りでした。
- 資格変更後の任期は基本的に1年しかない
- 特別研究員奨励費(科研費)の交付額が少ない可能性がある
- 特別研究員奨励費が使用可能になるまで時間がかかる可能性がある
DCからPDへの資格変更を検討している方は、これらのメリット・デメリットを吟味して決めていただければと思います。
最後になりますが、この記事が資格変更を考えている方にとって少しでも参考になれば幸いです。